これまで D104 という名称でご紹介してまいりました 10.4cm・F6.25 (fi=650mm) 3枚玉APO屈折鏡筒がFounder Optics といブランド名で再デビューいたしました。
D104鏡筒は北軽井沢観測所がLavenduraアイピースの筐体製造をお願いしている望遠鏡メーカー (RPLアイピースのライセンスを提供している台湾の望遠鏡メーカーでもあります) が開発したFPL53とFPL51の2枚の異常分散ガラスを凸玉、最新のランタンフリントガラスを凹玉にした空気分離式3枚玉アポクロマート望遠鏡です。
D104鏡筒この望遠鏡の結像性の優秀さは最近4年間、星祭りなどで皆様にご紹介させて頂いてまいりました。
2. FOT104の品質について
北軽井沢観測所では、この高性能な望遠鏡の輸入に際して品質を一定に保つためにダブルパス方式のロンキー像と焦点内外像を安定的に測定するシステム型測定器を開発して望遠鏡メーカーに導入するとともに、共同で輸入を行うスタークラウドとメーカーとの間で出荷/受け入れ検査体制の共通化を行ってまいりました。
北軽井沢観測所のダブルパステスタ
ダブルパステスタの概要
ダブルパステスタの測定項目私どもが輸入/検査体制を整えてまいりましたこの鏡筒の販売プロセスは以下のようになります。
(1) 輸出前の段階でメーカーが鏡筒個体毎の光学測定結果をスタークラウドと北軽井沢観測所に送付する
(2) この測定結果で設定基準を満たす製品は受入れ、基準未達の製品は再組立てを依頼、再測定をする
(3) 全ての鏡筒が設定基準を満たした段階でメーカーからの輸出を認める
(4) 到着した望遠鏡は北軽井沢観測所で測定を実施、基準に満たない製品はメーカーに返送・再調整する
(5) Topユーザー目線の受入検査基準で光学特性の水準を維持された製品のみを測定データ添付で販売する
更に、望遠鏡メーカーに対してはこの望遠鏡の光学性能に鑑み 『自社ブランドでの販売』 を促してきましたが、今回の輸入分から 『Founder Optics』 という同メーカーの新しいブランド名でこの鏡筒を輸入販売することになりました。
日本国内でスタークラウドと北軽井沢観測所が販売するこの鏡筒はFOT104という名称になります。鏡筒は光沢ブラックアルマイトを基調に明るいグリーン色のリングを配した日本専用カラーとなります。
また、光学系はメーカー出荷段階と国内受け入れ段階で北軽井沢観測所が製作したダブルパス方式の光学検査システムで検査し、設定した基準をパスしたものであることをレンズセルに 『Approved by KITAKARU』 という形で明示することにいたしました。
3. 品質保証およびメンテナンス体制
海外から輸入される天体望遠鏡の購入を検討される場合、品質保証、特にメンテナンスに対する不安があるかと思います。
販売後1年間、通常使用による不具合は無償修理の対象といたしますが、その後のメンテナンスについて、スタークラウドと北軽井沢観測所は次のような有償メンテナンス体制を確保することにいたしました。
(1) 望遠鏡メカ部分の修理およびレンズ表面の清浄は日本国内の光学メーカーに依頼
(2) レンズセルの分解を伴う修理は Founfer Optics に修理を依頼
このようなメンテナンス体制にする理由は、日本国内でできるメンテナンスはリーズナブルな費用で提供し、製造技術に準ずるスキルを要するメンテナンスはメーカーに任せることでメンテナンスのパフォーマンスを高める狙いがあります。
何れの修理の場合も修理前後の光学特性はダブルパステスタにて測定を行い、最終測定データを添付して納品させて頂きます。(既にこのメンテナンス体制は運用を開始しております)
4. 製品の内容と価格
北軽井沢観測所では次の価格にてFOT104の販売を行います。
製品名 : FOT104
光学系 : FPL53およびFPL51の異常分散ガラス、Laフリントガラスの空気分離型3枚玉トリプレット構成
D=104mm fl=650mm F6.25
機構 : スライド式レンズフード
2.7インチ ラック&ピニオンフォーカサー (1/10減速機構付き)
付属品 : FOT104本体、光学系の測定表
鏡筒バンド、ハンドル、レンズ蓋、2"-アメリカンサイズ変換アダプタ
アルミ収納ケース
価格 : 360,000円 (+消費税)
FOT104販売に関するお問い合わせ先 kitakaru@rondo.ocn.ne.jp
5. 特記事項
北軽井沢観測所ではFOT104鏡筒を使った双眼望遠鏡の製作もお受けしております。
双眼装置、クレイドル、架台、脚 についてはそれぞれご希望をお伺いさせて頂きます。
以下にご参考の写真 (北軽井沢観測所所有) を掲載します。
6. FOT104で撮影した写真
それではFOT104出撮影した月の写真を掲載します。
当日のシーイングは5/10でした。
(1) FOT104 + 専用フラットナー + ASI174MC 1msec × 10コマ
Waveletによる軽処理
