新モータードライバの製作
自作のページでご紹介している『高品位モータードライバ』は確かに高性能で
FS2.0赤道儀を快適にドライブしてくれます。私自身がもしこのモータードライバにケチをつけるならばそれは大きさ以外にはないでしょう。
ところが、その大きさを劇的に小さくできる手段が見つかったのです。
それはサンヨーから販売されているステッピングモーター用のモータードライバIC(STK672-050)を使うという方法でした。
このIC、『高品位モータードライバ』で使用したTA8534Hよ
りも圧倒的に外付け部品が少なく、しかも回転数に応じた電流制限回路も含まれているという優れものなのです。
早速STK672-050を用いた一軸モータードライバを試作してさいたま市のガレージ加藤さんに
使用していただいたところ非常に良い評価をいただきました。
そこでこれを発展させて2軸化することに・・・。
するとこちらも愛知の加藤さんから製作を依頼されました。
ご要望の品は、『Vixenのモータードライバと同じように0.5倍速と1.5倍速が使えるように』というものだったのです。私は0.5倍速なんて考え
たこともなかったので二つ返事でOKと言ったものの、このご要望はい
つものことながらなかなか難題であることが見えてきました。
恒星時駆動に対してデジタルICで速度制御回路を製作する場合、×
0.5、×1、×2、×4、×8、×16、×32などの周波数は2進分周器で簡単に出せるのですが×1.5はどうにも簡単に出すことは困難なのです。
そこであれこれ思案した結果下のような回路を製作することにしまし
た。
この回路を実験的に組んで見たところ下の写真のように×0.5、×1、×1.5、
×8を出すことに成功しました。
ここまでできればあとはハンドコントローラーのSWアサインを考え
た上で、STK672-050の仕様書に書かれた推奨回路に基づいた回路設計・製作をするだけです。
今回のモータードライバは部品点数が少ないので思い切って小さな筐体に収納することにして150×150×60というサイズのアルミダイキャストボック
スを選定しました。
しかし、いかに部品点数が少ないといってもデジタルICと電源回りの部品はそれなりの数になってしまうので小型のスルーホールユニバーサル基板1枚に組
み上げることは困難なので2階建て基板とすることにしました。
下の写真は筐体をSTK672-050のヒートシンク代わりにしてコネクタ類を実装した容器とSWアサインに基づいて製作したコント
ロールボックス、それに完成した回路基板です。
実際に回路は2台分製作しました。
左上の写真はモーターも含めたFS-MT03の全体写真です。
えっ、「何で03なの???」ですか。それは今回のモータードライバを完成させる前に2つの試作回路を製作したからなんです。右上の写真は左からFS-
MT01、FS-MT02、FS-MT03です。(コントロールボックスのピンアサインが微妙に違うのがお判りいただけるでしょう)
いかがですか、試作品と言っても3台並ぶと『製品』の雰囲気が出ているでしょう。そこで更に製品らしくするためにエンブレムも付けることにしました。
エンブレムはクラフト合金で作ります。先ずは型を作らなければなりません。型の原
型は東急ハンズのクラフトコーナーで実演販売しているレーザ加工の千社札を使いました。これは適当な材料に好きな模様や文字をレーザ加工機で刻んでくれる
サービスです。
製作した千社札を適当な大きさに切り、シリコン型材に埋め込んで鋳型を作ります。
これに缶詰の缶で溶解したクラフトアロイの溶湯を注いでエンブレムは出来上がり、これをモータードライバの筐体前面にネジ止めすれば完成です。
最後に、FS-MT03の取り扱い説明書を掲載いたします。
FS-MT03の
取り扱い説明書 (PDFファイル)