ちょっと使い勝手の良かった小物ご紹介のコーナー『その1』はデジカメアダプタ内臓接眼レンズの ご紹介です。

 市販のデジカメアダプタにはいろいろありますが、どれも「だいたいどのデジカメにも合う」ことを目標に設計されたものですので特定の1台には大きすぎた り重すぎたり・・・、とにかくあまりシックリこないことが多いものです。そこで私はCCD
ビデオカ メラのCマウント以降、デジタルスチルカメラのコリメート撮影では専ら自作のデジカメアダプタを利用してきております。

 専ら撮影に用いているカメラはフジフィルムのFinepix4800Zで、230万画素CCDの420万画素記録というフジ独自のハニカムCCDを使っ たほぼ完全な『バカチョン』カメラです。



 NIKONのCoolpix全盛の時期に天体写真屋さんからすれば『外道』に等しいカメラを選んだ訳ですが、記録だけでも200万画素よりは400万画 素の方が後々処理の幅が広がるだろうと考えての結果です。しかし所詮『外道』は外道でして、貧弱なマニュアル撮影機能や録画フォーマット、レンズ位置の非 対称性などさまざまな部分で悩まされながら使用しているのが実態です。

 そんなわけでデジタル写真にあまり期待していなかったこともあってデジカメアダプタは全て自作で来ています。

 最初に製作したのはMeadeの短焦点プローセルシリーズ用のアダプタでした。
 
   

 上の写真はMeadeのPL4.7mmと9.6mm用のデジカメアダプタです。このアダプタではカメラレンズの胴外形よりちょっと大きめの内径に削った 塩ビ製のスリーブを用意し、PLのゴム見口を外したところに付いている溝を利用してM3ネジ2本で固定するものです。
カメラ側も2本のM3ネジで固定します。


 次は現在でもファンから高い評価を受けているMasuyamaの25mmと35mm用のデジカメアダプタです。

   

 このレンズは胴が太いので水道管用の塩ビレデューサーを利用して内部を3.5mm大きめに削り、厚さ1.5mmのすり割りリングを製作して外側からM3 ネジ2本で締め付ける方法を採用しました。すり割りリングは大好きなMasuyamaアイピースの胴を金属ネジでキズ付けない効果も発揮しています。ま た、カメラの胴との接合側は別のスリーブを製作してアイピース側のスリーブと偏心接合することでカメラレンズの非対称偏心に対応しています。


 その次はMeadeのPL40mm用のアダプタです。

 

 このアダプタもMasuyama用と同様にカメラレンズの偏心に対応していることが左の写真から判ると思います。ただ、アイピースの胴にM3ネジで直接 締め付け固定する方法を採用しています。


 さて、いよいよ極めつけだと自分で思っているアダプタをご紹介しましょう。

 接眼レンズは名機の誉れが高いテレビューのRadian 3mmです。私はこれをとても簡単な方法でデジカメアダプタ内臓アイピースに改造しました。



 上の写真は改造前のRadian 3mmです。このアイピースにはアイリリーフ固定用の伸縮見口が付いています。この内径がカメラレンズの胴径よりも2mm弱大きいのです。そこで内部にす り割りスリーブを入れることでそのままデジカメアダプタにしてしまおうという作戦です。

   

 先ず塩ビパイプからすり割りスリーブを製作し、その次にアイピース本体から伸縮見口を外してRadianの緑ライン上の1箇所にM3のタップを立てま す。そして見口側についても端から7mm位のところにM3タップを立ててそれぞれに固定用の飾りネジを取り付けます。ネジの長さは8mmが適当です。あと は再組み立て後に伸縮見口を一杯に伸ばした状態で内部にすり割りスリーブを落とし込んでカメラを取り付け、固定ネジで固定すれば完了です。
 この2本のネジ、デジカメアダプタとして使わないときにスリーブ固定用はちょっと緩めておくだけで伸縮見口の収納もOKですし、伸縮見口固定用のネジは 普段の使用でも『固定用』としてそのまま利用できます。(むしろあった方が安定して使えるくらいです)

 ところで、
Radianは像面の平坦性が大変に優れた接眼レンズで、視野の中心も最外周もピントや像質はほとんど 変わりません。カメラレンズが偏心しているFinepix4800Zではありますが、Radianの素性の良さにおんぶしてデジカメアダプタ側の偏心策は とりませんでした。それでもFS-160で撮影している限りにおいては問題あ りませんでした。



 シンチレーションの良い日にFS-160+Radian 3mmを用いてFinepix4800Zでコリメート撮影した土星の写真ですが、16cm鏡の能力を十分に写し撮ることができていると思われるものであり ました。


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