7.研磨パッドによる修正研磨

2004/01/21-23

 フーコーテスタが完成して、セポール460分の鏡面のゾーン測定をしました。あらら、大過修正の状態でした。

 本来中央部と最外周のゾーン焦点の差が2.3mm位でなければならないところが12mmもあったのです。過修正なので影が明瞭に見えていたのです・・・ ガッカリ・・・。



 でも、ここでガッカリもしていられません。次の手を考えなければならないですね。
 物の本でも『過修正』の修正は難しいことが描かれています。それゆえ、球面からゆっくりとプラス側に整形をしていくのが正当な方法なのでしょう。
 今回の私の研磨の場合、磨きで入れたTOTが過修正側を助長してしまったかもしれません。

 


 過修正の面では上の図のように周辺がダレて、中間帯が浅くなっています。それでなくても研磨のしにくい中間帯を大量に削るのは大変な作業なので『砂摺り に戻って球面からやり直し』が推奨されているのでしょう。
 なんだか双六で『最初に戻る』の目を引いてしまったような気持ちになりながら、砂摺りに戻ったら整形技術が身に付かない・・・という負け惜しみ的な論理 で修正研磨をすることにしました。
 アクセスのしにくい中間帯を削るのですから教科書に書かれている方法ではダメそうです。部分研磨パッドを作れば可能なのでしょうけれども、知識も経験も ありません。

 そんなわけで、全面研磨パッドのまま次のような研磨方法で中間帯を削ることにしました。



 最初に盤と鏡をほぼ合わせた位置において、鏡の中心のハンドルを右手で固定し、左手を7時の位置においてかなりの荷重をかけながらグ イッと10時の位置まで回転するのです。このとき、盤とほぼ一致していた鏡の 中心を左上方にズズッとずらせるのです。このようにすると盤の7〜9時あたりの端部で鏡の中間帯がえぐられるような 動きをするのではないかと・・・。

研磨剤
研磨時間(積算)  分
通算研磨時間  分
研磨方法
研磨運動
修正量
セポール
15  (475)
1265
MOT
C+D
300%
セポール
30  (505)
1295
MOT
C+D

セポール
20  (525)
1315
MOT
B+F

セポール
30  (555)
1345
MOT
E
15%?



 上の写真はC+D運動で修正研磨を始める前、修正研磨15分、45分の鏡面です。強引に中間帯を落としているので鏡面の平坦性は失われ て凸凹でリングなどができていますが、だんだん過修正から戻ってきて、45分では比較的平坦近くまで来ているようです。
 そこで、中間帯を落とす回転研磨は終了して面の平坦性と平滑性を回復するための球面化研磨に戻すことにしました。




 上の写真は平坦化の研磨50分目の鏡面です。面は滑らかな状態に戻りつつあります。そして比較的球面に近いようです。ここで球心位置と 最外周の焦点位置(球心位置:ナイフで切れる影の方向→←、最外周の位置:ナイフで切れる影の方向←)の差は2.5mm程度になりましたので修正量はほぼ 適当になったのではないかと思います。
 F10ともなると修正量が非常に少ないので影の出方も薄くて不明瞭になります。面の状態はそこそこ滑らかなようですので、過修正側に進む可能性を覚悟し てもう少し磨くかどうか、ちょっと考えどころのようです。



2004/01/24

 今日はまとまった時間があまりなかったので研磨はお休み、それで20cm・F10鏡でとりあえず星像確認をするための鏡筒製作を始めました。本チャンの 鏡筒は0.6mmのステンレスかチタンにしようかそれとも2mmのアルミにしようか迷っているのですが、今回のは鏡面確認のためのテストベンチですから木 製で簡易な構造のものにすることに・・・。

 近所のDIY店に材料調達に行くと、1850mmの『1×4材』が安く売られていました。長さも丁度良いのでこれで鏡筒のスパンを製作することにして、 そのほかに前後のプレート用の300*910*14の集成材やスリムスレッド(長さのある木ネジ)、その他の小物類を購入してきました。



 写真はFS-200用簡易鏡筒の骨組みです。このフレームの一番下にミラーが、一番上に斜鏡が付くことになります。余りにも長くて邪魔 そうなので家内や娘たちの『ひんしゅく』を買うことは間違いないと確信しています。でもある日突然、長さ2100mm・ 直径250mmの金属砲が出現したら・・・と考えると部屋の中でこれを持ってウロウロしているのは家族にインフルエ ンザの予防注射をしているみたいなものです。


2004/01/26

 先日行った『大過修正』の"修正研磨"では鏡面全体の修正量はほぼ球面近くのレベルまで回復したようです。でも、よく見ると鏡周数mmの幅でダウンが残 存しているようです。
 高精度31cm鏡のMさん曰く、鏡面全体の修正量よりも鏡周の僅かなダウンやアップがディフラクションリングの見え方に大きく影響するということで、こ れは修正しなければ・・・という気持ちになりました。

 考えてみれば、20cm鏡の中央50mmの領域の面積よりも鏡周5mmの面積のほうが1.5倍も多いわけだし、中央付近は斜鏡の影になる部分でますます 影響は少ないはず・・・。このことを理解すると、『大切にするべきは鏡の中央付近よりも鏡周の方』ということになります。
 そこで、先日の大過修正から脱出した研磨方法を再度実行して一旦完全な『負修正側』に持っていってから修正を再度行うことにしました。

 そして、面の状態をより良く観察するために鏡周の確認は-40mmの位置で左右行うことにして、同じ位置でのロン キー像も確認することにしました。(ロンキーフィルムはPCでパターンを描いてLCDをミニコピーで撮影、ミクロファイン現像で定番の超微粒子フィルムを 製作しました)

No.
研磨剤
研磨時間(積算)  分
通算研磨時間  分
研磨方法
研磨運動
結果
49
セポール132
20 (525)
1315
MOT
B+F
平滑化
50
セポール132
30  (555)
1345
MOT
E
球面化+平滑化
51
セポール132
20  (575)
1365
MOT
E
ダウン修正
52
セポール302
20  (595)
1385
MOT
C+E
球面化+平滑化
53
セポール302
5  (600)
1390
MOT
C+E
ダウン修正
54
セポール302
5  (605)
1395
MOT
D+F
球面化+平滑化




 No.49はダウン修正開始前の鏡面です。

 

 No.50の研磨結果はNo.49と比較して明らかに周辺のダウンは減少しているようです。でもまだ修正不足・・・。もう少しやってみます。



 No.51の研磨では多少の面荒れを覚悟して改めて中間帯の削りこみを行いました。その結果、ほぼ球面になったよ うです。鏡周のダウンも少し残っているようですが劇的に改善されました。もうダウンがある鏡面とは呼べない嬉しくなるような球面です。
 そこでこれから放物面へ修正を開始します。



 平滑化を進めながら球面化の研磨運動をしていても徐々に修正量は進んでいきます。この時点で中央と周辺の修正量は2.5mm位でしょう か。修正量は良いようです。鏡面の平坦性もずいぶん良くなりましたが鏡周のダウンが僅かに気になりはじめました。



 そこで5分間の中間帯削りの研磨(No.53)を入れました。これで鏡周のダウンもほとんど問題ないレベルですが鏡面に若干の荒れがでました。修正量は 2.1mm位です。



 その後5分間の平坦化研磨(No.54)を行った後の鏡面がこの写真です。鏡面の平坦性もダウンもほとんど判らない状態です。そして、 修正量を測定したら2.1mmでした。目標が2.3mmですから僅かに負修正のミラーということになります。

 FS-200のミラー研磨を開始するときに立てた当初目標は「F10鏡だから球面から僅かに放物面側に修正が進んでいればきっとよく見えるミラーになる はず・・・」という甘い目標でしたから、とりあえずこの状態ならば目標以上の結果が得られたものと考え、『無めっき鏡』のまま月やシリウスで星像確認する ことにします。


 フーコーテストで『大過修正』が判明したときには"どうなることやら"と一瞬重い気持ちになりました。それは、どの反射望遠鏡の研磨教 科書にも『過修正の修正』についての記述はないからでした。「結局砂摺りに戻ったほうが早道だよ」という感じなのです。
 或いは、部分修正用の小径研磨ツールを製作して研磨できる技術を持っておられる方ならば目的の部分の削り込みをする方法も選択肢だと思います。
 しかし、今回は攻めるゾーンを決めて、鏡面の荷重加減や当たり面の当たり量などを考えながらかなり強引な修正研磨を行った結果、研磨の最初からずっと一 緒だった盤ガラスだけで過修正を直せることが判りました。鏡面研磨をしておられる方々にとって頭の痛い課題を解決できる糸口が得られたのではないかと思っ ております。

 なお今回は、ピッチ盤は一切使用しないで研磨パッドでの研磨でした・・・。



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