13.初めての出張観測(ガレージ加藤にて)
2004/03/22
2/19土曜日、埼玉南部は15時頃まで季節外れの雪が降っていました。咲きかけた桜がかわいそうな感じだったのですが、夕方には止みそうだったので約
束していたTitanium-200の加藤さんのお宅にお邪魔することに・・・。もちろんFS-200仮も同伴です。実は、FS-200の移動を想定した
訓練もしておきたかったので、晴れていれば丁度良いチャンスだったのですが、出発する16時頃はまだ霧雨のような細かい雨が降っている状態でした。
FS-200がマンション6階の我が家の玄関を出るのはこれが初めてです。
とにかく障害物にぶつけないように注意しながらエレベーターに乗り1階に、そしてコンコースを通って駐車場に向かうところで知り合いの住人に出くわし
て・・・、挨拶をしたものの、いぶかしそうな顔をされてしまいました・・・。
車はトヨタの大型四駆なのですが、後部座席の背もたれを倒してFS-200を後部ハッチからそろりそろりと積んでいくと、前席の背もたれが邪魔になって
入りきらないではありませんか。
ちょっと唖然としながら、仕方なしにセンターコンソールの中ほどに主鏡セルあたりが来るような格好まで押し込んで、ようやくハッチが閉まる状態になりま
した。これだと助手席に誰かを乗せて長距離移動は厳しいかな???などと思いながらドブ架台を鏡筒と並べて積んで、出発です。
土曜日の夕方ということで郊外に向かう道路はかなり混雑しています。いつもならば1時間弱で到着する道のりを30分以上余計にかかって加藤さんのお宅に
到着。加藤さんは既に準備万端で待っていてくださいました。
到着する頃もまだ多少霧雨が続いていて、星を見ることはとっくにあきらめていました。
そんな訳で望遠鏡をシャッターを開けたガレージ(といっても車が4〜5台入るような大きな建物なのです)に半分入れたような状態で2Km離れた鉄塔頂点
付近に取り付けられている赤灯に照準を合わせました。
レレレ・・・、そう全然良く見えないのです。「車から出したばかりで温度順応していないから・・・」とか何とか言いながら、少し不安な気持ちになってし
まいました。
「それならば温度順応するまでの間・・・」と優しい加藤さんが空気望遠鏡OAT-78(D=78mm、fl=3560mm)を見せてくださることに。OAT
-78は直径78mmの単レンズ望遠鏡ですが、鏡筒や接眼部は超近代的な造りとなっていて、『ヘベリウスもびっくり』の機能美鏡筒です。
OAT-78
このときは遮光環を入れていなかったので視野中心から外にかけてだんだんとコントラストが悪くなっていく状態でしたが、赤灯の像は先ほどのFS-200
よりも良いような・・・。
鏡筒の造りや空気望遠鏡の像に感心しているうちに1時間ほど経ったので再びFS-200を鉄塔の赤灯に向けてみると、今度はかなり良い像になっていま
す。「やはり鏡の温度順応が・・・」と少し自信を取り戻しながら遠方の豆球(白色光源)や体育館の丸球などあちらこちらを見回しました。温度順応がもっと
進めばもう少し良くなるのではないかと思っていると、加藤さんがいよいよTitanium-200を赤灯に。
色収差のことを気にしなくて良い赤灯に対して、Titanium-200は大変良いパフォーマンスを最初から示しています。シャッターの開けてあったガ
レージにしまってあったとはいえ、改めて屈折の温度順応の早さに驚かされたのでした。
その後、GOTO製5cm・F10やGOTO製6cm・F20アクロマートについても赤灯や白色豆球の像を堪能しました。特に公共天文台用望遠鏡のガイ
ド鏡として製作されたGOTO製5cm・F10の像はとてもF10アクロマートとは思えない色収差の少なさで、関心
させられてしまいました。
ジャンク鏡筒ということであった6cm・F20は残念ながらレンズ配置がおかしくて焦点像を結んでくれませんでし
た(その後調整したら素晴らしい像になったそうです・・・)。
そうこうしているうちに2時間ほど経過して、改めてFS-200を赤灯に向けてみると、今度は素晴らしい像になっているではありませんか。
FS-200とOAT-78
考えてみれば、自宅でメッキ前のFS-200鏡の像確認をしたときには鏡筒は外皮のないスケルトン状態で、温度順応が極めて早くできるような構造だった
のです。もちろんRadian3mmの650倍でもバッチリのあの時の像が目の前に展開されています。
加藤さんも「よく見える」とタイコ判を押してくれています。
FS-200を覗く加藤さん
「で、寒くなってきたのでソロソロ・・・」と言いかけたときに、「アッ、星」と加藤さん。雲の切れ間から木星が顔を出しているではありませんか。
早速FS-200を木星に向けてみると、見えます見えます、フェイストーンが・・・。200倍で4大衛星もばっちり点像、スパイダーの影響も感じませ
ん。
その後、土星を訪問。気流はイマイチでしたが、一瞬安定したときの惑星像は十分に計画以上の『出来』でした。
また、シリウスやアルデバラン付近を見ながら焦点内外像の確認やスパイダー・斜鏡の影響についてチェックしました。FS-200の斜鏡径は主鏡の
12.5%しかなく、太さ0.3mmの3本スパイダーは主鏡から1800mmも離れた所にあるのでシリウスのような明るい恒星を見てもその影響を実感する
ことはほとんどできません。
加藤さん曰く「まるで屈折を見ているような像」、「恒星を視野のどこに置いてもピント位置が変わらない」、「低倍率(50倍)でも視野全体がフラットで
気持ちがいい」、「F5やF6とは全然違う」という評価でした。
確かに完全な温度順応が出来たときのF10ニュートン鏡のパフォーマンスはかなり凄いと実感できたお披露目会でした。
でも同時に、鏡筒の長さと重量から来る『取り扱いにくさ』も初めての移動で実感させられました。
惑星用ならば追尾は必須、でも赤道儀に載せるには問題が大きすぎるような感じです。面精度の良い平面鏡を作ることを前提に、やはりポーラースタットなの
でしょうか・・・。