春の星空案内

 春の宵に天頂付近のやや北に大きなひしゃくの形をした星が見えます。皆さんよくご存じの北斗七星です。この北斗七星、「ひしゃくの柄」が円弧を描くように南に曲がっているでしょ?

 この曲がりをずーっと南に延長していくと黄色っぽい明るい星に出会います。この星は「牛飼い座」のア−クトゥ−ルスという星です。そしてさらに延長していくと白く清楚な輝きの星を見つけることができることでしょう。これが「おとめ座」のスピカなのですよ。

そしてこの円弧はさらに南の「からす座」にまで続いていきます。 円弧の中心には「しし座」がどっしりと腰を落ち着けて休んでいる様子が想像できるでしょう。

 北斗七星から延長した直径が90度にも及ぶこの大きな円弧のことを「春の大曲線」といい、その円弧の中に入る星たちが春の星座に相当するのです。春の星座たちは秋の星座ほどではありませんが心もち星の数が少ないでしょ、これは銀河面に垂直な方向をみているからなのです。(詳しくは秋の星座を参照してくださいね)

 実はね、この大きな円弧の中にはたくさんの隠れた「ひみつ」が隠されているのですよ。

 レンズの直径が20cmクラスの天体望遠鏡を持っておられる方は北斗七星とア−クトゥ−ルスの中間あたりの場所にねらいをつけて星空探訪をして欲しいのです。望遠鏡の倍率はできるだけ低い方が良いでしょう。

 すると、気がつきませんか? 「えっ、この望遠鏡、ボケていない???」

 そう、きっちりと焦点を結ぶ星たちに混じって「ボケボケの光の塊」をたくさん見つけることができるのです。でもね、良く見ると「ボケた光の塊」、みんなちがう形をしているのですよ。あるものは真ん丸で、あるものはラグビーボール状、あるものは細長い棒状なんていうふうにね。

 秋の空でも説明したアンドロメダ銀河は銀河を斜めから見た様子でしたっけね。M33は銀河を真上から見たもので比較的丸い形をしていました。

 春の星座で見ることのできる「ボケた光の塊」も実は銀河たちなのです。そういえば、心なしか渦巻きに見えるようなのもあるでしょ。

 秋の星空でご紹介したアンドロメダ銀河は地球から比較的近くて200万光年位の距離にありましたけれど、春の星座の銀河はもっともっとずっと遠いところ(数1000万光年以上離れています)にあるので小さく見えるのですけれども、とにかくたくさんありますので、銀河の品評会を見ている様なのですよ。

 それではとっておきの1つをお見せしましょうね。M51「子持ち銀河」です。

 

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