冬の星空案内

 冬の星空、明るい星がたくさんあってとても賑やかですヨね。秋の空のところでご説明したように冬の星空は銀河円盤の方を見ているからなのですね。

 「えっ、銀河って天の川のことなんでしょ? 天の川って夏に見るものではないの?」

 ええ、でもね、私たちの太陽系が銀河円盤の上に乗っかっているので銀河は私たちの天球をぐるっと一回りしているように見えるのですよ。ただ、冬の銀河は銀河中心と反対方向なので見える星の絶対数は少ないんです。それで天の川といっても淡くてなかなか見えないのですね。(「秋の星空案内」ご参照)

 それでは冬の天の川とその中の面白い星たち、ちょっとお見せしましょう。

 

 冬の星座の代表格は何といっても「オリオン座」です。昨年は「毛利の三ツ星」にも出て来たあの星たちです。オリオン座には三ツ星を囲むように4つの星があって、そのうちの2つが1等星なのです。ペテルギウスと対角のリゲルです。

 オリオン座の南西には全天で一番明るい1等星が青く輝いています。おおいぬ座のシリウスです。そしてシリウスの北西にも明るい星(プロキオン:こいぬ座)があります。

 この3つの1等星を結ぶと大きな正三角形ができるでしょ。「冬の正三角形」っていうんですよ。冬の天の川はこの正三角形の真ん中を北から南に流れているのです。そして、天の川の中にはいろいろな天体が隠れているのです。

 秋の空のご案内で真上から見た銀河(M33)をご紹介しました。あの写真の銀河の渦巻きの中に赤い(ピンク色)の部分が点在していたのを覚えておられますか? あの赤い部分、銀河の中に点在する「水素の雲」なのです。

 もちろん隣の銀河であるM33に「赤い色の水素の雲」があるのならば、私たちの銀河系の中にもあるはずですよね。 

 その一つがオリオン座の中にあるんです。三ツ星の下に小さな三ツ星が縦に並んでいませんか? 「小三ツ星」っていうんですけれども・・・ その真ん中の星、実は星だけではなくてガスの塊(ガス星雲)なんです。「M42:オリオンの大星雲」がそれなのです。ここでは水素のガスの中から新しい星たちが誕生しているのですよ。ちょっと空の暗い場所ならば肉眼でも存在は確認できますが、じっくりと形を楽しむには少し大きめの双眼鏡が必要です。口径20cm以上の天体望遠鏡ならば写真のような星雲の様子が手にとるように見えます。

 そしてもう一つ、「冬の正三角形」の中にも大きな赤い塊があります。「ばら星雲」っていう名前なのですけれども、こちらの方は「オリオンの大星雲」よりもずっと希薄な水素ガスの領域です。そのかわり、ガスの形がとても綺麗なバラの花びらの形をしていて、周囲の星たちとのコントラストがすばらしいのです。でもね、この星雲、肉眼で確認することはとても難しいんです。なぜならば、人間の目、赤い光の感度がとても低いからなのです。どうしても見たい方は少し空の暗いところに行って、標準レンズ付きの1眼レフカメラにISO400のフィルムを入れて、絞り解開放、距離無限大で40〜60秒間「冬の正三角形」を撮影してみてください(三脚とレリ−ズが必要です)。間違いなく写ります!!

星空案内のページに戻る